指二本の巻。
 
 
 
■ 吉行氏の「あの道この道」という本からすこし引用してみる。

  入口で医者と親子が待っている

 難解だが、薬指・親指・小指と考えればよい。残りの二本が内部で活躍中というわけだが、昔は二本に決まっていたようだ。
 このごろは、フィスト・ファッキングとかいって、拳固を入れてしまう。十九世紀の世紀末は、憂愁・倦怠の時代であったが、二十世紀末にはガバガババカバカと無茶が流行るかも知れない。
(吉行淳之介「あの道この道」光文社文庫:53頁)
 
 
 
■ ま、この本は、江戸時代の古川柳のばれ句を、吉行さんの流儀で甘酸っぱく解釈したものである。
 面白くて、時々読み返しているが、ここまで書いてもいいのかなあ、と投げやりな姿勢が男らしくて好きだ。
 苦労した末のことだろう。
 
 
 
■ ところで、指二本というと、いわゆる「ツー・フィンガー」ということである。
 すこし前に村松氏の宣伝で流行ったことがある。
「ツー・ヒンガア」と、すこしなまって言うのが宜しいかと思う。